#17 やなぎなぎ「ビードロ模様」PVを制作しました

やなぎなぎビードロ模様」PV (サビ)


 アニメ「あの夏で待ってる」エンディングテーマ

 illustration: xai (http://www.cassini-xai.com/)
 Motion Graphics: eau. (http://lamer-e.tv)


 こちらでの報告が遅くなってしまった……。初めての商業依頼でした!

 前作「ice」でお世話になったやなぎなぎさんから御依頼をいただき、やなぎなぎさんのソロメジャーデビュー曲である「ビードロ模様」のPVを担当させていただきました。
 そしてイラストは、なぎさんの所属するサークル「binaria」(http://binaria.net/)のヴィジュアルワーク全般を担当しているxaiさんによる、繊細で美麗なモチーフ群を使わせていただきました。

 やなぎなぎさんの歌声に色や動きを付ける至福!そして宝石のように繊細で美しいモチーフ!多幸感に溢れる制作でした。
 youtubeではサビの40秒程度のみですが、PVは全体で90秒程度のものになります。フル尺は様々なシーンで放映されているようです……!
 また、アニメ「あの夏で待ってる」番組内で、このサビから15秒がCMとして地上波で放映されているようです。 アニメ視聴の際には是非御確認ください!

 そして「ビードロ模様」のシングルが2/29から発売しております!やなぎなぎさんの声と楽曲の透明感が相乗した素敵な楽曲なので、是非お手に取っていただければ幸いです。

 以下、詳しい制作の話。


 やなぎなぎさんから、
 「夏らしい鮮やかな青」「『ice』のようにタイポグラフィで歌詞を魅せる」「時間経過に従って彩度が上がっていく」「万華鏡のように反射してキラキラしている」「人物は用いず、植物や虫、魚などのモチーフを用いる」
 などのオーダーをいただきました。それぞれの要素は揃っているかと思います……!

 今回も何だかんだでFlashベースの制作をしています。Flashはグラデーションなどの色彩が非常に直感的に乗せやすいので重宝します。難点なのは色深度が8bitなのでマッハバンドが発生しやすいところですが……。

 まず、基本的にどんな映像にも一本コンテクストが通っていると全体がまとまる+困ったときにコンテクストからアイデアを引き出せる、といったスタンスで作っているので、今回はxaiさんからいただいた鯉のシルエットのイラストを元に、「〈二匹の鯉が、時間が経つに従って段々距離を詰めながら追い掛けあっている〉表現を〈青春のもどかしい恋心〉の隠喩とする」といったコンテクストで制作を始めました。
 そう、「鯉」の追いかけ合いと「恋」の追いかけ合いをかけているわけですね! ……ほんとうにごめんなさい……(そもそも本当に鯉なのか自信が無い)

 その上で、時間経過を表現するために今回はバックに日付の回転印を使いました。「ice」で印鑑を用いた延長上になっています。「ice」の流れからのオーダーということで、全体的にいろいろと「ice」と似せた表現を取り入れています。
 「夏らしい鮮やかな青」に関しては、単純な青を入れるだけでは夏らしい鮮やかさが出ないので、黄色や橙を織り交ぜたグラデーションで表現しています。
 「タイポグラフィで歌詞を魅せる」部分は、今回は歌詞の一画一画をパーツ分解するというおぞましいアイデアが浮かんでしまったので使ってみました。正直歌詞部分で制作時間の半分近くを消費している気がします……
  

 この有様でした。尺が短いから出来た荒業ですね!もう二度とやるまい……

 「時間経過に従って彩度が上がっていく」は、サビの部分だけだとあまり伝わらないですが、序盤に比べてだいぶ彩度を上げています。彩度だけでなくグローや加算のブレンド等も容赦なく使って光の効果を上げてみました。サビラストの色彩感は自分でもとってもお気に入りです。
 「万華鏡のように反射してキラキラしている」の部分は見た通りです。処理が重過ぎて泣いた。「人物は用いず、植物や虫、魚などのモチーフを用いる」も見た通りかな……

 商業依頼ということで、作りながら「本当にこれでいいのだろうか……」と悩んで試行錯誤する時間がいつもの制作の数倍近くあり、一回最初のシーンをボツにするなど難産でしたが、結果的には自分でもかなりお気に入りの作品になりました!なぎさんの歌声を聴いているとどうしてもぼかしやグローでふわーっとしたい欲が高まってしまう。

 改めて今回はこのような機会を下さりありがとうございました。
 これからも依頼はこなしていきたいですが、プライベートワークで自分できっちりディレクションして作りたいものも色々あるので、それにもしっかり時間を割けるようにしたいですね……!